2008/09/26

目は寸止め、鼻は垂れ流し。

牛タン専門店取材にて、
よほど物欲し気な顔をしていたのか
「ビール、飲みませんか?、まだこの後あるなら小グラスでも」
と言われたので、お言葉に甘えて、
ビールと、甘くて柔らかいタンの肉にあやかるとする。
数ある部位の中でも
あえて、あっさりとアテになるタンを選んだ店主の
酔狂さにもほどがあると思いながら、
しかしいつもなら前菜の役割を果たすタンの
ジューシーさはキョーレツであった。
そこでついはずみがついての2軒目。
本当はカメラの竹田さんも飲みたそうにしていたけど、
その後に取材が控えているとのことで
ひとり、アメ村のメキシカンダイナーへ。
(メキシカンファミレスから昇格)

週末のメキシカンダイナーは混んでいる。
オープン直前に足を運べば、もうすでにテーブルは予約で満席、
座って飲んでいるうちにカウンターも予約で埋まってしまった。
「ごめんね、食べもしないのに」とタニモト氏に心で謝る。
大阪に住み始めて6年、すぐに仲良くなって
ケンカもたびたび…のタニモト氏は、やはり私の兄ちゃんである。
ここ数週間、行かなかった間の近況を報告し、
報告したらすぐに満席で店はてんてこ舞いになって、
報告したことを、熱帯魚の動きや
兄ちゃんの動きを目で追いながら反芻する。
反芻しながら、そこに付随する想いが募って、
ついでにお酒もちょっと入っていたりしてついつい悲しくなってくる。
というか、「兄ちゃ〜ん」と泣きついてる感じが
まったくもって情けなさ全開でしょーもない。
あー、こんなことって、未体験ゾーン。
兄ちゃんも「こんな満ちきちんのレストランの真ん中で…、
ていうかそんな悲しそうなん…」なんてびっくりして
頃合いを見て慰めのシェリーを奢ってくれたりするので
(たぶん私が飲まないと減らない酒なんだと思うけど)
余計に泣けてきてしょうがない。
泣けてきてしょうがなさすぎるのと、
客で埋まりすぎて申し訳ないのとで、そそくさと店を後にした。
たぶん、兄ちゃんは心配の余りに夜中呼び出すんだろう。
呼び出された私はまた、えーんと泣きつくんだろう。

雨の上がった大阪は肌寒い。
千日前の交差点で信号を待っていたら、ふらりと3人組。
「渡ったところでええんやんな」
ひとりが確認のために振り返って言う。
長袖を着た3人組。
南からまた、冷たい風。
腕を覆いたい気持ちで信号を待つ。
何も考えないままに信号を待ちながら、
鼻から自然に涙が出てきて止まらない。
目は寸止め、鼻は垂れ流し。
ほろ酔いでチャリンコをマッハで漕ぎながら
自分へと、相手への言い訳が頭でぐるぐる回る。
その後に、もうどうしようもないってのが
よくわかって余計に泣きたくなってきて
上を向いたり下を向いたり、忙しくってしょうがない。
もう本当に、あー、としか言いようがない。
あー、不安定なこの感じ、サイアク。

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