2008/02/18

分岐点の彼。

たぶん、たくさんの選択について
大学のときの、あるトモダチから大きく影響を受けている。
彼とは大学は違うけれど同級生で、あるバーでバイトをしていた。
一方的な恋だったけれど私はとても好きになって
それまでバーになんて行ったりしたことがなかったのに
そこにはとにかく通った。
店に行くことや、店にいる人や店にいる客と
ギャーギャーと遊ぶことが楽しいと思い始めたのはそのころ。
京都のDD系の店で、当時はそれがブイブイ言ってた時代。
彼はDD系の中でも中心的にウロウロとしていて、
その話を聞いているのもおもしろかった。
彼について数珠つなぎ的に店を巡るのもおもしろかった。
バスケがあり、バイトがあり、ちょっと学校がある
という当たり前の生活にいきなり入ってきた街の空気。
それまで「街」という価値観とはあまりに違う場所にいたから余計に、
平均的な会社に入って、平均的に働いて、
平均的に結婚をして子どもを産んで年をとっていくんだろうと
なんとなく思い描いていた自分の「未来」は
グラグラと揺れてパタンと倒れた、と思う。

いくつか会社を受けたけどどこに行くイメージも持てず、
いくつかのうちのいくつかが受かったものの全て辞退した。
次の年も同様に。
飲食のバイトを極めつつ、でもどこにも向かうことはなく、
ただフラリフラリと生きていた。
周りにいたトモダチがいつしか会社勤めになり、
私のように夜を中心に働く人が見あたらなくなってまた全部やめた。
とりあえずバイト情報誌でトッパンの原稿整理という仕事を見つけて、
工場で原稿を整理整頓する仕事だと勘違いして入り、
気がついたらカタログをバリバリ作っていて、
なぜかミーツ・リージョナルという雑誌を作ることになり、
そしてなぜか今度はどっかの会社の社内報を作ることになった。
タニモト氏に新しい選択を報告すると、
「ホンマに流れるままの人生やな」と言われたけど、
自分でも本当にそう思う。

もしもあのときに「彼」と出会っていなかったら
絶対にこんな、流れていくような人生ではなかった。
遅かれ早かれそういうふうになっていたとはどうしても思えない。
なぜ彼と会って以降、
会社に入ることを「普通のこと」と思えなかったのか、
(彼は順調に卒業して順調に会社に入ったというのに)
なぜ彼と会って以降、どこかに向かおうと思えなかったのか。
彼と会って後、私は何もしていないのに心身ともにフラフラのグロッキー状態で、
反して行動は真空の瓶に栓がされたように、何も動かそうとできなかった。
頭の中では苦しげに空気が止まり、微動すらしない感じだった、と思う。
私はとても純粋で真面目で頑固で、彼のいる「遊び場」を目指すので必死だった。
彼の思考を追っていなければ、彼と出会っていなければ。
今となってはもう、きっと二度と彼に会うことはないんだろうけど。

時間を戻せるならば、あのときに戻って、
もうひとつの人生も見てみたいなと思ってみたりはする。
ただ、それが幸せかどうかは、今の私にはわからない。
「死ぬときにこの人のこと思い出すよな、みたいなことを考えたりする」
とこないだマコが言っていた。
私は間違いなく、大学のころに好きだった彼を思い出すだろう。
感謝でも、後悔でもあるからだ。

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