2009/01/05

見知らぬ旅人のように。

旅に出ることは、
すこしだけ misfit になることだ。
もう、愛想笑いなんか、できっこない。
もう、なにもかも寸法があわなくなる。
そんなときだ、
古い友人のことを、
読み切ってしまった本のように、
閉じてしまいたくなるのは。
不幸なことだろうか?

見知らぬ旅人のように(文=佐伯誠/翼の王国2007年2月号)

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新年早々から風邪をひいてしまった。
イマドキサイセンタンノ、インフルエンザ。

買い物やら遊びやらで昼間にみんなが外出してしまった後、
客間からコソッと抜け出す。
厚着をして毛布持参でデッキに腰掛け、
片手にゴミ置き場で見つけた古い雑誌、傍らにコーヒー。
日中の太陽は暑いくらいに照りつける。
丘の下の公園では老人たちがゲートボールに励む声、
たまに周囲を見渡せば、PSPを持った野球帽の中学生が
荒地でコソッと隠れながらゲームをしている。
私はボンヤリとデッキに横たわって
本を読むふりをしながら考え事をしてみたりする。
去年の終わりに話した大事なことを
もう一度頭の中で整理しようとしたりする。

夕方深くなったころ、母に起こされ目を覚ました。
いつの間に眠っていたのか。
考え事をしていたのを途中で諦めたんだな、と思い出す。

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見たつもりで、なんにも見ちゃいないんだ、あいにく。
これは、旅についても、おなじこと。
旅慣れることで、感動を失っていくという、
二律背反から逃れられない。
つまり、旅をするのは、文明人のオトナにかぎられているでしょ?
そこが、問題。
ほんとうに旅をすべきなのは、
野蛮なコドモじゃないだろうか?
それとも、彼らはわざわざ外国へ出かけていかなくとも、
いくらでも感動をみつけられるかな?

見知らぬ旅人のように(文=佐伯誠/翼の王国2007年2月号)

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風邪は治ったけれど、
なんとなく移動するのが面倒で、
もう少し高知にいることにした。
ここにいないと会えない人に会いに行ってみたり、
ここでしかできないことをやってみたりしようかな。
とは言ってもほんの1~2週間もないくらいの
わずかな期間ではあるんだけど。

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