2009/11/23

原点に戻る。

四国での仕事を終えて早くも2ヶ月、
岡山の仕事は熟考して断り、定期的な収入がなくなった。
つまり、ついに、名実ともに「どフリー」となったわけである。
先輩やボスが「間違ってないと思う」と言うから納得している。
母親も「そう決めると思っていた」と言っている。
その他の道は、想像の中になかったのだ。
しばらくは先輩が間借りするボスのビルに居候する。
「アナタが成長していくことが楽しみ」と言ってくれる。
看板はまだ何も掲げていない。
自分では、「書くこと」ずばりに限定することを拒んでもいて、
(というか、それが充分満足にできるとは思えない)
だからといって、まだ何かできるワケでもないのだけど。
早く「私の看板」を掲げることができるように。
そうじゃないと、甘えさせてもらっている意味がないのだ。

想いは原点に戻る。
このギョーカイというものに入った入口は、
たかだか「フロムエー」で、「トモダチと休みを合わせたい」という
フニャフニャな動機だったけれど、そこから全ては始まった。
ミーツに拾ってもらって雑誌を作った。
作ることには意思を持つことが必要だと教わった。
親分に拾ってもらって四国でガッツリとカタログを作った。
クライアントの意思を尊重しながら自分の意思を持つことを学んだ。
先輩にくっついてボスのビルに居候させてもらって、
今はまだ「手伝い」くらいしかできていないけど、
自分で仕事を作ること、意思をカタチにする方法を覚えること、
それで、仕事をもっとおもしろがりたい。
いつも、何もよくわからないままに、
環境にできるだけ合わせようとして生きてきた。
目の前にあるヒトやコト、モノに、
無我夢中でぶち当たりながら、自分のできることを模索してきた。
ツラくもあったし、悲しくなることもあった。
デキナイコトを実感して悔しかった。
でも、同じ想いのままで同じ「作る」世界にいる、ということは
自分の中に何か理由があるんだと思っている。

私は何が好きで、何と関わりたいのか。
誰を好きで、誰と関わりたいのか。

こないだ、ボスとお酒を飲みながら、
自分のことをたくさん話した。
主には、「ワタシハナニモデキナイ」ということ。
デキナイと思っているのは、「自分の仕事」にする方法だ。
岡山に行って社員にでもなれば、それなりに役を与えられて
予算を持ってたくさんの仕事を「流す」ことを覚えただろう。
もしかしたら企業間の政治を覚え、
企業が儲かるための仕事を作ることもできたかもしれない。
四国にいたときには「上が握る決断」というものに
しばしばヤキモキさせられたし、
もっと賢くなりたいと願ったこともあった。
それもそれで、ひとつの「意思を持って作る方法」だと思う。
でもそれは、私にとってどんな意味があったのだろう。

悩んで考えた末に、
私は、「決定権を持って作る」ではなく「作ったものを愛おしむ」を選んだ。
ボスの言う「オレたちはコミュニケーションをデザインしている」が
とても意味のあることに思えたから。
作ることの意味、
つまり、コトバや写真やデザインが作る間合いのコミュニケーションを
しっかりと理解して関わることができなければ、
自分にとって何の喜びもないだろう。
もっと人の近くに行って、きちんと理解をし、
好きになって作りたいとも思った。
ここ何年かの間に作ったものには何の愛情も抱けず、
「これを作りました!」と誇らし気に言えなくなり、
背筋が寒くなっていることも理由のひとつかもしれない。
とにかく、流れない覚悟が、ようやくできたところ。
「他人の仕事」でなく「自分の仕事」、
30歳にして遅ればせながら、やっとそう思えた。

いい大人になりたい。
自分なりの生活ができる大人になりたい。
仕事は、そのための手段に過ぎないというのは変わらない。
だけど、いつもその仕事の意味で私は困惑する。
ボスは「アナタには想いがあるから」と言う。
私はそれを信じる。

編集長が「思っていなければ書けない」と言っていた。
ボスは「思っていることが自然と出てしまう」と言う。
編集長は「早く表現の筋力をつけなさい」と言った。
ボスは「想いをカタチにする方法を覚えなさい」と言う。
尊敬するカメラマンとボスを会わせたときに、
二人がコトバ少なくも分かり合っていたことがキョーレツに印象に残る。
「人を会わせてつなぐことを、私は一番楽しいと思えるかも」と言うと、
「“つなぐ”じゃなく“紡ぐ”をアナタの役割にしなさい」とボスが言った。
それが具体的にどういうことなのか、よくはわかっていないけど。

私はどんな大人になるのか。
10年後、20年後の私はどんななのか。
「悩むことができる人がいい」とみんな言う。
それならば、万年悩みの尽きない自分好きの私だから、
我が事ながらちょっと楽しみでワクワクする。

筋力増強のトレーニングに、
これからは、できるだけ毎日書くようにしよう。
「新しい毎日」に反応できる瞬発力のためにも。
というわけで、今週から営業週間です。

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ボスのところには、最近、編集の仕事が多く舞い込んでくる。
これは、クライアントから指名できた仕事。

http://www.kikumasamune.co.jp/book/
丁寧に作られたいい本です。

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