2008/05/24

瞬間的な駆け引き。

気は進まないながらも、
何度も「バスケしようよ」と誘ってくれるヒロに
断ってばかりもいられず、久々のバスケ。
バスケをやめてもう何年も経っているというのに、
身体は動かないながらにも覚えていた。
後一歩足を踏み出せたらルーズボールを手につけられたのに、とか、
最後の一踏ん張りが利いたらシュートが入ったのに、とか、
そういう体力的な衰えはあったけど、それでも充分に楽しめたと思う。
女の人ばかりじゃなく、男の人に混じって、てのも
負けん気を刺激されておもろかった。
もちろん、使わなかった筋肉を使ったために
血の巡りがおかしくはなっている。
手がちょっと震える。

バスケをしながら考えたこと。
こないだ家に帰ったときにやっていたNHKかなんかの番組で、
スポーツ選手の身体的能力を解剖するてのがあって、
たとえばバッターボックスに入って球種を見極めるのはどのくらいの時間で、
みたいなのをやっていた。
これ、科学的見地で解剖すれば、
バットの先が動き始めてからの計測で「たったの0.何秒」となる。
でも実はそうじゃない。
その前に足が動き、足が動く前に目や、肌で感じる勘が動いている。
それは自転車を漕ぐ身体の動き方を説明できないのと同じように、
言葉で説明できるもんではない。
で、その「たったの0.何秒」を説明するとすれば、
ボールがバットに当たる直前までに振られるバットの軌道修正だ。
私はバットを振った経験がないので
たぶんそうだろうという予想だけど。

で、たとえばバスケでのひとつのプレイを解剖する。
ボールを持ったらまずリングを見る。セオリーだ。
選択肢は3つ、まずはシュート(1対1を含む)、次にパス、最後にドリブル。
だから、リングを見るのと同時に、
リングと自分との間に何人のディフェンスと
オフェンスがいるかを瞬間的に数えている。
ディフェンスが一人で、
しかも一歩出せば簡単に抜け切ってしまうと判断したときに
身体は自動的に前に進む。
当然、ヘルプが途中でやってくる。
ヘルプが来ることはわかっているので、
ヘルプで来たディフェンスの状態を見る。
ひとつフェイントで抜き去ってしまえそうならば、
何かしてリングまで突っ切る。
もしかしたら、ヘルプでディフェンスが来たなら
どこかのオフェンスが空いているので、そこを生かすようにする。
シュート体勢に入ってからもさらにヘルプのディフェンスは来る。
ここまで来れば、相手はたいがい必死で止めようとしているので
こちらが先手で有利、ひとつフェイントでもすればシュートは簡単に打てる。

全ては「こうなったからこうする」、それだけのことだし、
なぜディフェンスが来るのかも、どういう状態で来るのかも、
自分自身がどういう状態なのかも本能的にわかっているからできる。
状況に、ニュートラムに合わせて最適な選択をする。
自分がディフェンスをやるときも同じ要領。
「一歩出せば簡単に抜け切ってしまうと判断」とか
「ひとつフェイントで抜き去ってしまえそう」とかの
「なぜそういう判断をするのか」は、
瞬間すぎてたぶん、考えていることではない。
思えばシュートを打つタイミングやパスをする相手やそのタイミング、
フェイントがかからなかったときの対処だって、
むしろ言うなら今、攻撃に参加するかしないかの判断も、
反射に近いことだと思うけど、でも、反射ではない。
で、勝つとか負けるとかよりも
その瞬間的な駆け引きのようなものを、私は好んでいる。
カラダを動かす、シュートを決める、よりも断然おもしろい。
多くのスポーツ選手はそうやって、
一瞬の判断の掛け合いを楽しんでいるんじゃないかとも思う。
いや、そうじゃないと、スポーツなんておもしろくない。

内田先生のブログにバカボンドのことを書いてあって、読んでそうかと思った。
スラムダンクはなぜおもしろかったかというと、
その瞬間過ぎるけど反射ではないことを絵にできているから。
そのときのその判断、たとえば瞬間で終わってしまう心理描写を
描いているからおもしろい。
バカボンドで「すげえ」と思うのは、
そのニュートラムな状態の心理描写がうまいこと。
一瞬、一瞬の「そのとき」に見ていることなんて説明しにくい。
調子がいいときは、うまく言えないけど全部が見えている。
観客一人ずつの表情だって覚えていることがあるんだ。
でもきっとそれらは科学的に解剖したものをテレビで放送しても何かが違い、
たとえば今日私が書いたことだって、おもしろくはないはず。
考えていない(=言語化していない)ことだからうまく説明ができない。
ついでに、それぞれの主人公に共感できることもまた、
おもしろさのひとつだと思うけど。

えと、展覧会だけ見に、東京に6月、行きます。
半年以上も前からチェックしていたんで。
たぶんすぐに帰るけど。

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

結局バスケしたんやね~