2011/07/20

台風の夏。高知の夏。

台風は、上陸前の月曜からワーキャーと騒いでいて、
もっと近づいたら、こりゃどうなるんだろう、と身を硬くし、
庭では木々や大切な草花に補強がなされるなど、
台風襲来に向けて“上陸歓迎”の準備も万端に整えられました。

明けての昨日。
誰もが「この数年見たことがない」と言う川の水量。
流れの速さもしぶきの勢いも、
遠くから見ているだけで飲み込まれそうに恐ろしい。
母親が見ておかなければと言うので、
共に地域を車でパトロール(?)してみたら、
川の水位は、もう少しで田んぼや畑に達しそうな勢いに。
その様子は、以下の写真をご覧ください。

川上の集落にて。
濁流具合にも驚く。
水位はもう数センチほどと
畑に迫っている。
ナス農家をしている
友だちの実家はこの周辺。
…なすすべなし。


うちの前の川。
流れに対するカーブもキツく、
高低差も大きいために、
岩もゴツゴツと残り、
その割に流れが激しいところ。
(単に“速い”ではない)
「落ちたら死ぬ」でなく
「落ちたら砕ける」だ。


うちの家から川下へ
数メートルほどのとこ。
流れが合流するポイントでは
渦が巻いている。
(写真右下)


さらに川下へ。
いくつかの支流が合流とはいえ、
この川幅は、ない。
普段は、この半分ほどと
思ってもらっていい。


-----

かつて「台風銀座」と呼ばれ多くの台風が襲来した本県だが、
上陸は史上最多の5個を記録した2004年を最後に
昨年まで6年連続でゼロ。
記録が残る1951年以降では最長の「空白」だ。

先日の「読もっか こども高知新聞」にも出ていたように、
台風の移動コースを決めるのは
基本的に太平洋高気圧の強さと偏西風の吹き方。
ただし、近年の上陸ゼロの原因は詳しく分かっていないという。

そんな本県を久しぶりに襲った台風6号。
きのう正午前には県内全域が暴風域に入り、
強い風や激しい雨に見舞われた。
交通機関は空、陸ともにストップし、
足止めを食った県外からの観光客や
仕事に支障のあった人も少なくないだろう。

夏の台風は「風台風」が多いともいわれるが、
6号で目立つのは雨の量。
馬路村魚梁瀬や津野町船戸といえば県内有数の多雨地点だが、
24時間降水量が観測史上最大を記録したというから
尋常な降り方ではない。

県内各地で河川の増水や山の斜面の崩落などが相次ぎ、
安芸市の海岸沿いでは防潮堤が決壊した。
台風による高波の破壊力は大きいとはいえ、
津波はその比でないだろう。
次の南海地震では巨大な津波の襲来が避けられそうにないから、
防潮堤のもろさが気掛かりではある。

この新聞が読者の手元に届くころには、
鈍足の6号も本県から離れつつあるだろう。
できるだけ被害が少なくて済むようにと、心から念じつつ。

※2011年7月20日高知新聞・小社会より

------

実際の被害の状況はどうか。
うちの近所(津野町)で言うなら、
うちより川上の集落(芳生野)では避難勧告も出されたらしい。
船戸では観測史上最大雨量と。
川では水位が測られたんでしょうか。
どのくらいの水位を記録したんでしょう。
安芸市では防潮堤が決壊したおかげで
たくさんのものが壊れたらしいけど…。


夏の高知は、日差しが強い分、日差しに吸い取られた水分が、
まさにバケツをひっくり返したように
激しいスコールとなって降りてくることが多くなります。
つまり、急いで洗濯物を避難させた数分後には、
忘れたようにからりと晴れて、
しばらくすると何もかも全部乾いてしまう。
「どっかのおっさんみたいな天気やね」と母と笑ってしまうくらい、
「ほんまに高知らしい」と称えられるのは
ざざぁーっと降ってからりと晴れる、という気性の人だったりする。

「暑い日差し・入道雲・スコール」の3点セットでなくとも、
台風だって気性を象っていると言って間違いないし、
実際に、高知にあるいくつかの独特の文化は、
台風から身を守るためのものだった、というのもポイントかも。

「高知に台風が来る? めったにないことやにゃ」
という囁きも最近では聞こえ始めていたものの、
これにて汚名返上、やっと来たか台風、という趣も否定できず。
台風の来ない高知は、ネズミのいない『トムとジェリー』、
もしくは、バイキンマンのいない『あんぱんマン』、
義眼おやじのいない[海老蔵]に、おかんのいない[万正]…と、
いたらいたでなかなかにたいへんなものではあるけれど、
なければ一気に魅力も個性も動機も半減してしまうものでも。
どんなに大きな台風が来ても大丈夫やきにゃあーということを
むしろ誇りに思っている(ように見える)県民性だからこそ、
台風のない夏はどこか気の抜けた(間の抜けた?)感じが
残ってしまうのではないでしょうか。
だから、この台風が久しぶりに直撃すると知って
防御策に走る人たちの背中と目と汗がキラキラ輝いて見えたのは
気のせいではないでしょう。

…なんて言うと、怒られるかもしれません。
…そういえば、前回、台風が接近してきたときに、
中土佐町の黒潮市場のおっさんが
「若いヤツは台風が来る、言うてびびっちょらぁよ」と
ケッと鼻を鳴らしながらボヤいていました。
寂しいのは台風が減ったことではなく、
台風にびびるようになった県民性でしょうか。
実学でなく机上のみで対策を練るようになってしまったら、
もはや高知の魅力は半減どころか。
(そんなことはないと思うけど)

0 件のコメント: