2009/12/06

まんま。

野田の中央市場の脇にある事務所には、
いつも自転車で通っている。
…「通っている」というか、
ほとんどはお風呂に入って着替えてくる、
くらいの感じか。
行き帰りの時間は、一段落ついたときで、
だから、マチマチになる。

自転車の通り道は、当然いろいろとある。
一番分かりやすいのが、
大国町の国道をまっすぐ新なにわに突き抜けてズドンのコース。
最初はそうやって同じ道を要領よく行くように心がけていたけど、
行き慣れると別の道を通りたくなる。
次はあみだ筋、なにわ筋、別の筋を通るにしても、
西に抜ける道は中央、本町、土佐堀と、
信号が変わるのに身をまかせて走るのが第二ステップか。
大通りを通るのに慣れてしまったら
あとはフニャラフニャラと小さな通りに入っていく。
「お、あれは何だ」「こんなとこにこんなのが」などと
興味のままに走らせるのが第三ステップ。
そのうち、その小さな通りでも、
自分の気に入ったコースがなんとなくできてしまって、
フニャラ〜と気ままに走っているつもりが、
いつの間にか「いつもの」コースに来てしまっている。
「あ、またここに戻ってしまった」となる。
よくよく思えば、そこが自分にとっては最も走りやすく
導かれてしまう道なのだろう。

このところ、元町を抜けてなにわ筋を入り、
信号にまかせてあみだ筋を目指しながら
路地に入って、公園の横を抜ける途中、
平日なら営業マンの昼寝、休みの日なら家族の風景に出くわす。
それが見たいと思っているわけではないけど、
なんとなくそれを眺めながら自転車をこいで
あみだ筋に突入する手前で中央大通りを超え、
マコとウミちゃんが住んでいたマンションの
一階にあるパン屋さんの前で
何か買って行こうかなと悩んでいる間に通り過ぎ、
本町に突入して斜めの道に入る。
いつの間にか、そこには何の想いもないけれど、
勝手にこれは固定されたコースになってしまった。

万事そういうもんなんじゃないか、と、
今日、ついさっきも自転車に乗りながら浮かんだ仮定は
少々急ぎすぎだろうか。
でも、ここ最近の自分を見ながら、
「結局は元の道に戻っていく」
(「元の道」がなんなのかわからないけど)
と思ってしまう。
たくさん難しいことを考えた結果、
「この仕事」に興味を持った原点に立ち戻っているだけのようにも見える。
とにかく、「こうなりたい」なんて少し思っただけじゃ
そういうふうにはなれないし、
もしかしたら、根本で「自分を変える」なんてできるわけもない。
とても残念な結論だけど、同時に安心する事実。
最近いっしょにいる人たちにも
たくさん迂回をした結果、
なんとなく「戻った」感がするのも不思議だ。
(迂回の途中では全く会わなかったのだから、余計に)

あー、また頭でっかちになってしまった。
文章ってムズイ。

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同じモノでも、人によってモノの捉え方はまったく違うのである。
とかくこのあたりまえのことを忘れがちだ。
モノと人の関係を丁寧に見ていくと、
残すべきものが少しだけ見えてくる。
それはとてもとてもささやかな気付きだから、
どうでもいいと思えばすぐに消え去る。
他人に相談しても伝わらないようなもの。
それをキメの細かいメッシュで
掬い上げるような仕事だったのかもしれない。

『クジラは潮を吹いていた』(文:佐藤卓/トランスアート)

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「表現したこと」とは、イコールで「その人そのもの」。
いわゆるクリエイティブな広告やら雑誌やらのみならず、
たとえば、どこかの会社の商品だってそうだろうし
きっと経理やらの仕事だってそうなんだろうと。
私の仕事は、商品を作った想いや
そこに関わっている人の想いをちゃんと伝わるようにすること。
あーいやいや、まだまだ全然足りてないけど。
で、それをずっと考えていくと、
自分がその仕事にどうフィットしていきたいのか、
なんてことをボンヤリと思うことが増えた。

できれば相手の思うものに素直に反応して
「思うもの」というものが伝わるように作りたいけど、
どこか自然に、自分が反応できる「相手の想い」というのを
チョイスしてしまっていることにも気付いたりして。
たとえば、ほんのちょっと、誰かのために企画書を作ったりしても
こちらは「言っていること」に忠実に作ったつもりなのに
実はちょっとだけ方向が違うことってある。
そのチョイスが間違ってたら教えてもらうしかなく、
すごすごと身を引いたり、
そう解釈した理由に納得してもらえるように努力したり、
たくさんやり取りがあって、
謎が解決されていく様はおもしろい。
でもときどき、「こんなふうに解釈してくれたんや」と
言ってもらえることはとてもうれしい。
そんなだから、おもしろくない仕事はないように思える。

最近、仕事のことしか書いてないね。
ボスには「ピュアすぎるわー」と野次られるけど、
正直、仕事は、いや、人と関わるのはとてもおもしろい。
(というか、私以上に、ボスは純粋=正直?すぎると思う)
たぶん、他のこともあんまり考えてないってことです。

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