2008/03/25

田舎暮らしの本。

母親からの強い希望があり、
近く、50歳代のアレやコレやに会ってみることになった。
ひとりは、豊中に住む女の人。
高知新聞の論説委員の、たぶん、元彼女、らしい。
一度母親がその論説委員から取材を受けたときに
ぜひに会わせたいからと連れてきた美人。
その美人は女性の仕事について研究やサポートをしている人、
本人も出産、離婚をしているとのことだった。

「女性の働き方」というお題には全く興味がない。
私は今のままでも十分に生きているし、
出産をした姉も、不便ながらも家族のサポートを受けながら仕事をしている。
まず、母親が3人の子どもを産んでなお職場復帰し、
小さな自治体ながらも町役場の要職に就いている。
やろうとしてできないことはないと思っているから
そこんところの話は切実でなく、むしろややこしい。
ただ母が、「その人ねぇ、田舎が好きなのよ」などと
うれしそうに話すから会ってみようかとなったのだ。

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田舎で生きていくというのはたいへんなことだ。
これだけ「便利さ」が世の中を支配している中で、
田舎では電車やバスがないだけじゃなく
インターネットや携帯電話もつながりにくい。
ウチの田舎に限って言えば、5自治体合わせて1つの回線、
もちろん大元となるNTTやauなんかは一番大きな町にしかない。
当然、若い人は便利な大きな町へと流れる。
それは悲しいけど時流だし生活だから仕方のない話。
しかしかつて山肌を開拓して小さく田を重ね、
季節に合わせて田植えから収穫までを繰り返し
名物とまで言われて観光客を集めた千枚田は、
誰も手つかずとなり荒々しく雑草だけが残る。
「IT化」「便利化」はむしろ各地方を平均化させ、
中央集権社会を深刻にしたにすぎない。
高速道路を走りながら、山間の道路を走りながら思う。
「この景色は、別の場所でも見た事がある」と。
それではなんだか味気ない。

そんな中、母親のいる自治体が坂本龍一より援助を受けた。
世界を飛び回る坂本龍一、その移動で排出されるCO2を
なんとか還元したいとのことで、森林に対していくらかもらったと。
これは高知新聞に大きく紹介されるできごとでもあった。
実際の内容はどうあれ、
新聞やメディアにその話が載れば双方の広告となる。
坂本龍一のCDには援助した旨の一文が添えられ、
それはまた、自治体の広告となる。
母の働く自治体は人口こそ4,000人と小規模だが、
有名建築士に宿舎を設計させ、
あるいは若年層家族への援助開始も早かったりなど
インフラとしての公務をうまくやっている。
今回の坂本龍一の件も、人を賢く介した動きだ。
奥の「松原」という地域ではまた新しい動きがあるらしい。
母は「何か雑誌に出せないかな」「田舎がなくなったら日本は終わる」
と、これまで言わなかったことを言っていた。
小バカにしていた『田舎暮らしの本』なんてのも
切実に、発信側の需要は高まっているんだろう。
だけど、いくら田舎での生活を魅力的に発信したところで
文化や実際の生活がそれに追っついてなければ
ただ不便で、ただプライバシーがなくむしろストレス。
というか、私は今んとこ、田舎で生活をしたいとは一切思わない。
これほど詐欺に近い話はないんじゃないかと。

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全く別のこととつながっていくことがないと、
作っていてもおもしろくないんじゃないか、
「作る」だけが仕事では私は困ることになる、
などと思い始めたのはいつだったっけな。
「作らなければならない」という強制からは
おもしろい話は何もないように思える。
伝える意味、伝えない意味、作る意味、作らない意味が
もっとあるような気がする。
母親には、雑誌だけじゃなくって別の方法も考えよう、
とにかくそれにまつわるいろんな人に会ってみたいと言った。
その流れからのひとりが豊中の女の人。
この人がどういうキーマンなのかは摑めておらず。

母は自治体のエラい人ですが、
きちんと企画書なり見積りなりを作って、仕事として提案します。
提案の期限はざっくりと、夏の終わりということでどうでしょうか。

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