ミーツ編集部をやめて半年、
誘われるがままにデザイン事務所を手伝いながら
自分の立ち位置を定めるのにウゴウゴと蠢いていたら
なんとなく流れに沿ってフリーという立場になっていた。
主には、これまで世話になってきた人から
何か頼まれごとや相談を持ちかけられると
どないかして力になれんかと思うとこから始まり、
その相手が古巣にいる人であったり
あるいは街場で仲良くしている人からであったりし、
それもときに大口だったり小口だったりのマチマチであるから
どこかに所属しているよりも動きやすい、ということで。
ありがたいことにそれで生きていける算段がついたから囲ってもらうのをやめた。
何か肩書きを口から出すと(それでも誰かの紹介で言われることもある)
能力も追いついていないし、それを専業にしようとしているワケでもないので
恥ずかしくてなんだか鳥肌がプツプツと沸いてくる。
なので私はできるかぎり「便利屋です」と言うことにしている。
実際、打ち合わせの中で必要事項や大筋を大まかに決めてしまえば、
みんなが勝手に考えてやってくれるし、
逆に大まかに決めてもらった出発点と着地点の中で
道順を決めてコトを運んだりもする。
改めて、同じ「作る」仕事でもやり方も関わり方も様々だなと思う。
たくさんに関わらせてもらうことで、
自分から見える景色がどれかひとつに限定されないことが
最もありがたかったりもする。
そういえば、「どうせヒマだろう」というので
もらいかけている仕事のひとつに「年明けからカフェの店番」というのがある。
こないだはバーで店番をやったし、想定外に便利屋を極める可能性も大だが、
とりあえず自分の体力が許すままに、流れにまかせておこうと思っている。
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肉の最もまずそうな動物ベストテン。
(ナマケモノ、フラミンゴ、アルマジロ、オオサンショウウオ、
マレーバク、スカンク、カメレオンetc.)
○
もし万が一過去にタイムスリップしてしまった場合に備えて、
自分が未来人であることを証明するために覚えておくべき出来事。
(地震やテロの日付け、ワールドカップの勝敗etc.)
○
もとは土の地面だったところが舗装されてしまったら、
その下で羽化を待っていた蝉の幼虫はどうなるのか。
(だからアスファルトの下には、地面に出られなかった
幼虫の死骸がびっしり並んでいる)
私の仕事は、ほとんど体を動かさない。
だいたいいつも机に向かい、腕を組んで考え事をしている。
傍から見れば真剣に沈思黙考しているように見えるかもしれないが、
実はろくなことを考えていない場合が多い。
もちろん最初のうちは、真剣に沈思黙考していたはずなのだ。
それがいつの間にか思考の経路が脱線して、
気がつくとこんなことになっている。
それでも、ごくたまに、そう、脱線思考三百件につき一件くらいの割合で、
もしかしたらこれは実用化できるのではないかと思わせるような
有益なアイデアが浮かぶこともある。
たとえば、「猫マッサージ屋」。
飼ったことのある人なら覚えがあるだろうが、
猫というのは体重はたいしたことがないのに、
胸や腹の上に立たれるとけっこう重みがある。
それはなぜかといえば足裏の面積が小さく、
点で圧迫されるかっこうになるからで、
ならばそれをマッサージに応用できるのではないか。
客をうつぶせに寝かせて、その上に猫をのせるだけでいい。
うまくツボにはまればけっこう気持ちいいはずだし、
猫好きにとっては一石二鳥だ。
好きな猫を指名できるようにしてもいい。
従業員が猫なので人件費がほとんどかからないのがメリットだが、
問題はその従業員の勤務態度だ。
それから、「汚れの通販」。
テレビの通販のコマーシャルで、
いつも目が吸い寄せられるのは掃除関連の商品だ。
クリーム状のクレンザーや蒸気の噴射器などを使って、
ものすごく汚い洗面台や鍋などが見違えるほどピカピカになる。
思わず欲しくなる。
でも、その“欲しい”の気持ちをよくよく分析してみると、
「うちの洗面台の汚れを落とすあの商品が欲しい」よりは、
むしろ「あんな風に気持ちよく落ちる汚れが欲しい」であることに気がつく。
たしかにコマーシャルに出てくるあの洗面台の汚れは、
何か特殊なものでできているような気がする。
ならば、それをチューブに入れて売ったらよくはないか。
クレンザーのおまけにつけてもいいかもしれない。
みんな汚れ欲しさにクレンザーを買うかもしれない。
私なら買う。
あるいは、「水ゼリー」。
私は寒天やゼリーやプリンなどのぷるぷるした食品が好きで、
わけてもゼリーを愛している。
できることなら、ウィスキー、麦茶、おでん汁など、
何でもゼリーにして味わってみたい。
しかし究極は何といっても「水ゼリー」であろう。
純粋に、ゼリーのぷるぷる感と透明感だけが味わえる。
ゼリー好きにとっては至福だ。
どうせなら、水はエビアンとか「南アルプス天然水」などと凝りたい。
海水や川の水、雨水なんかもいいかもしれない。
他にも「熱い息鍼灸師」とか「トラウマ弾き語りバー」とか、
いろいろ有力な案があるのだが、
実行に移す根性も体力もないのでそのままだ。
惜しい。
誰かが代わりにやってくれたら、私はきっと客になるのに。
※『ねにもつタイプ』(著:岸本佐知子/筑摩書房)
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昨晩いっしょに飲みに行ったアイちゃんからミックスCDをもらった。
本人曰く「テクノからディスコからヒップホップも、
オールジャンルごちゃ混ぜやで〜」とのこと。
ちなみにこれ作るのに1週間こもったそうで。
アイちゃん、とは、年末頃に知り合った女友だち。
大阪でここんとこ人気急上昇中のバンド、
マッカーサーアコンチ(ミーツのファッションでも登場した)で
万年怒り続けるというキャラ設定の女トロンボーン吹き。
その他にもラテンバンドやガールズバンドにも参加している。
劇団KGBの女役者マイキーと3人で飲むことがほとんどだったが、
KGBがニコルソンズと改名して上京するにあたり、
このごろふたりで週一回ほどの割合で徘徊するようになった。
たいがい、アイちゃんのリクエストで最後はナマズでダラダラとなる。
ジャンルとは何か。
ええやんけそんなこと、である。
だいたいジャズからヒップホップに分家してたり、
レゲエとジャムの違いだって微妙だし、
テクノだっていろいろとあるけど、私にゃようわからん。
サイキョーの消費者的にフィールソーグッドでええんじゃ。
と、私は思っている。
聴いてみればアイちゃんの言うようにまさしくなごちゃ混ぜ、
しかもさすがに音の世代が同じなので微妙に古いディスコナンバーなんか、
ナ・ツ・カ・シィ〜〜という感じのツボつき具合でむしろキュンとする。
ネエさん、さすがである。
なんとなくおぼろげに理解をしているのが
広告的にいう「ブランド戦略」というのは
この「ジャンル」というのをさらに細分化させての記号化か。
企業の銘柄自体が唯一無二のものとして、
あわよくば「ジャンル」としての存在化ではなかろうかと。
仕事における肩書きをジャンルとするならば、
私のようにジャンル不明に
関係性だけで仕事を成立させていく商売とは対極として見ている。
ま、えいやっと無理矢理に例えて商店的に言うならば、
自らを記号化して不特定多数から信頼を得ようというあちらは
大型ショッピングセンターの地域進行と似ていなくもなく、
ならば、知っている人からの仕事だけでお願いしますという私は
商店街の小さな薬局兼写真屋兼文房具屋兼化粧品屋か…て、それは実家か。
記号化や不特定多数からの信頼がいいか悪いか、ということはさておいて、
とりあえず私とはあまり絡みのない話である。
200803100124
気付いたら前回の更新からすでに2カ月。
もうちょい書くようにいたしやす。
というか、こちらに移行しますので、
またみなさまよろしくたのんます。
http://nsatmi.blogspot.com/
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