広告セミナーに行った。
いやーだいぶおもしろかった。
私の知る人たちが特殊なワケでなく、
最近みなさん、テレビをおもしろいと思っていない。
つまりテレビCMというのはここんとこ効果激減。
私が知っているデータでも、
・広告費は世界的に増加している
・テレビへの広告投資は少なくなっている
・YouTubeに広告営業部門が設置される
・セカンドライフに広告代理店が進出
と、広告への投資は、目に見える部分においてでも
ネットに流れているというワケで。
おっちゃん曰く、
これまでならば、予算の半分以上をテレビCMに、
その半分からいくらかを新聞、雑誌広告に、
残った分でキャンペーンでも打とうか、
車内広告でも打とうか、みたいなノリで、
広告費用の使い方っていうのはほぼ決まっていた。
ま、消費者と新しい情報との接点が限定されていたし、
中でもテレビっていうのは絶大な影響力があったからだ。
で、使用者が全員発信者となれるウェブというのができて、
今のほとんどの情報は「as time as you like」的に
好きなように検索したり、誰かとつながっていたりで得られる。
じゃ、単純に広告はウェブに流れていくのかい、というとそうではない。
ここで最新の(ADKなりに)広告の展開理論が説明されて、
それもそうとうおもしろかったけど
グラフとか計算とか出てくるのではしょるとしよう。
言いたい話は結論として最後に。
ケーススタディとしていくつかの事例が紹介される。
例えばIKEAの場合。
たしか2006年だったと思うけど、
家具の大型ショップIKEAが日本に初進出した際、
莫大な広告費用を持っているにも関わらず、
メディアでの露出にお金を遣わなかった。
広告をする範囲も、ショップから15km圏内と限定する。
圏内にある道路や公園にバラック的な簡易のショールームを作り、
マンションジャックと称して、
あるマンションと交渉して、全室のベランダから
「IKEA」のロゴとイメージカラーのシーツで覆われた布団を干したり、
駅の階段昇降部に、メッセージのあるポスターを貼ったり、
あるいはバスをラッピングしたり、などなど。
IKEAは家具のショップであり、家具は生活を美しくするものであり、
もしかしたら生活の中で、家族のあり方も変えられるのかも、
みたいなコンセプトの中で作られた広告なので
大々的にメディア戦略を使わず、生活圏内での宣伝活動に特化した。
たとえばマンションジャックなどは
ニュースとしてメディアに流れたけど、ここに金は出していない。
戦略の中にウェブの話もなかった。
でも結果としても、オープン初日で35,000人の集客などなど、
相当な効果を出した広告。ちなみにカンヌでメディアライオン賞を獲得。
情報との接点、その接点のイメージを巧く使った広告だと思う。
てか、すげー。トリハダ立った。
maxelの場合。
廃校前の小学校を追ったドキュメンタリーなCMはかなり話題にもなったけど。
これはもともとは、マクセルのDVDを使ってタイムカプセルを作りましょう
というキャンペーンから始まっていた。
もちろんマクセルのDVD自体は
「永く保存できる」というのをタイムカプセルに見立てて
「10年後の私はモデルになってますか」とか
「僕はお父さんみたいにがんばって働いてますか」とか
小学生の夢を、感動的なタッチで映しているテレビCMをやっていたけど、
たしかこれ、「タイムカプセル」っていうキーワードが出るのは、
最初はウェブでのキャンペーン告知のみ。
当選者にはタイムカプセルキットをあげますとかいう。
そこに廃校になる小学校の担任の先生からの応募があって、
制作側が勝手にその小学校を追ってドキュメントを作ってしまったという広告。
こちらもDVDメディアとして
日本ナンバーワンの売り上げを取ったという効果。
「作ってしまった」「追ってしまった」だから
もともとはテレビCMに戦略なんかなかったのかもしれない。
だけど、想いを残すメディアとしてのDVDという位置づけを作ったし、
結果としてそういう企業イメージをつけてしまった。
ちなみにこれもカンヌで賞取ってます。
てか、すげー。つーか、セミナーで普通に感動して泣いてしまった。
別の事例としてスリムウォークが出る。
これも一応テレビCMは打っている。
タレントも最近は観月ありさに格上げ。
だけどインナーとして着ているものを見せてええんかってなとこで
テレビのほうでの予算は切り詰められていて、
その他にキャンペーンとして試着したままファッションショーを見るとか、
カフェをジャックして試着しながらお茶できるとか、
カリスマブロガーを囲い込んで口コミで書いてもらうなどなど、
結局は使ってもらわなければ効果はわからないというので戦略が決まったと。
こちらの効果については、現在進行形のため不明だけど、
いやしかし、消費者へのプレゼン方法は多種多様ですなと。
つまり。
情報に触れるポイントで、なおかつ購買行動につながるモノは、
テレビCMや番組内、新聞、雑誌もそうだし、
何気なく目にするだけかもしれないポスターや車内吊り広告、
キャンペーンやウェブ、ウェブでも口コミ、ブログ、
フリーペーパーなどの他者から機会を与えられるものだったり、
実際に生活している中で友人に聞く話かもしれないし、
購入前に自分で仕入れたパンフレットやカタログもあるだろうし、
直前に店で店員から言われることかもしれない。
たとえばシャンプーみたいにサイクルの早い日常品だと
日常で触れている情報量と情報のイメージが肝だったり、
だいぶ騒がれ済みですが、
資生堂TSUBAKIの大ヒットもすさまじい戦略でございました。
タレント囲い込みで全ターゲットを押さえてる辺り、節操なくも圧巻。
広告でドバ〜〜ンと数億、全てあっけなく回収済みと。
ついでにあの広告でシャンプー部門国内シェア4位から1位へ。
ちなみにこれもADK。すごすぎる。
パソコンでも利用上級者と初級者では情報の得方が違うし、
マックユーザーは店頭でほとんど迷わないけど
ウィンドウズユーザーは店頭でのやり取りでもまだ迷うみたいな。
とにかく、その商品が伝えたいものや伝えたい相手、
商品によっては使用頻度なんかを想定して
ブランディングメイクをしていかなきゃ、て話だったのでした。
別の角度から言えば。
もう、クリエイティブがクリエイティブだけをやる時代は終わった、
クライアントからの案件を、どういうコミュニケーションの手段で
誰にどういうメッセージで伝えるのが最も伝わるのかを
プランニングしなきゃいけない、
てな話で、かーなーりワクワクしました。
てか、それできるようになりたいっす。
で、実際に自分のクライアントについて考えて、
もっとやれることはあるし、そしたら私ももっとおもしろくなると確信。
その話はまた改めて。
つーか、ADK、軍隊みたいにお堅いイメージだったのが全然違ってました。
メモ。
http://portfolio.barbariangroup.com/portfoliojobs/107/index.html
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久々の取材案件もろもろ、
誕生日週間(強調)の来週頭から動くことになりまして、
久しぶりにタカさんに電話をしてみる。
そういえば噂では子どもが産まれたとかで、
その話を振ると「そういえば写メ送ってなかったですねぇ〜〜」となり、
電話を切って数分後、半ば強制的にメールが送られてきた。
タカさんとそっくり(!)で、でも、意外とかわいい(すいません)。
いや、えがったなぁと返信したら、
「話は変わるんですけど、念願かなってエレカシの撮影できます」とあり、
そして聞いてもないのに(いや、聞く必要は全くないのに)
ご丁寧に撮影の日まで教えてくれた。
よっぽどうれしいのね〜、うれしいことが重なっていいね〜。
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新しいカタログの撮影プラン、CGプランを詰めていくのに資料を漁る。
モダン建築と言われて久しいけど、どの雑誌を見てもモダン建築ばかり。
和室でもナチュラルテイストでも、カントリー調でも
ヨーロピアンだろうが、アジアンだろうが、子ども部屋だろうが、
大人の部屋だろうが、寝室も物置もキッチンも、
なんでもかんでもモダン、てかスッキリした色調のみ。
モダンというカテゴリの中から分類していったほうがいいくらい。
そこに需要が圧倒的に多いというか、すでにそれがスタンダードかと。
多くのターゲットに万遍なくハマるようにと
トラディショナルな部屋も考えなきゃいけないと思っていたけど、
その必要はなさそう。
だいたい、商品の色も黒と白とビーチ色のみだし。
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改めて、の話。
ウチのビッグクライアントの商品は、
悪く言えば、ハウスメーカーなんかで標準的に扱われる廉価品。
デザイナーズなんちゃらとか言われるような建物には、
床部材以外で使われることなんてほとんどないんじゃないだろうか。
だけど良く言えば、スタンダードな商品で、
安い割に品はきっちりしていると言える。
そうじゃなかったらハウスメーカーで使われない。
トッパン時代に一番よくここのクライアントに出入りしていた私は、
その会社の工場、事業部、宣伝部、開発部などの人たちの
人のよさすぎぶりも熟知しているので、
ウチの会社で作っているようなグレードを高く見せる広告は違うよなーと。
ついでに、ボコボコと手当たり次第に
宣伝費を使ってしまうようなやり方も違うよなーと。
クライアントの人たちは自分の会社も、自社製品も
あんまり好きじゃないような感じでいつも言っているけど、
私はそんなに悪く思えないから、いや、なんとかせねばといつも思う。
思いながらも、政治的要素もガッツリと絡んで
ビクビクと臆病にも意見を言わずにいたけど、
ちょっと本腰を入れてどげんかしたい。
ほんで、いい製品を、身の丈に合った物言いで紹介したい。
カタログでも写真が重要なのはよくわかっているので、
まずは新カタログのそこんとこでなんとか食い下がれるように。
奮闘します。
2 件のコメント:
そんなこんなが書いてある本
「基礎から学べる広告の総合講座」3500円もしましたが、
友達の影響で購入。わくわくして読めます。
広告はおもしろい。
さとの書いていることもわかりやすい。
で、同じ時期に同じことに興味をもっているのも、きもいw
広告、だいぶおもろいなー。
てかシンクロしすぎ。キモスW
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