2009/11/01

やっと企画書できた。

先輩のところには印刷会社だけでも
大手2社の企画部隊が毎日出入りしてくる。
10月の頭から取り組んできたプレゼンは
そのうちの1社からのもので、
それがようやく終わった。
大手代理店数社が絡むということもあり、
無理ながらもやってみようとした結果、
10月頭にあった1次のプレゼンでは通過し、
このたび、最終のプレゼンに臨むということになった。

そのプレゼンの担当者は、
これまでに見たこともないくらい
しぶとく、しつこく事務所に顔を出しては
私と先輩が向かい合って座っている席に
いっしょに並んで座り、
私たちが他の会社の仕事をしていようと
おかまいなしに途中まで仕上がった企画書を広げて
鉛筆と赤ペンを交互に使いながら
自分のプレゼンのシミュレーションをしていた。
途中、言葉に詰まるとすぐに
「これってやっぱりこうなのかな、ああなのかな」と
質問をしてくる。
答えを返すと
「じゃ、この話の流れはやっぱりおかしいかも」と言って
また企画書を最初のページに戻して悩み始める。
それがほとんど毎日、時間も何もかまわず、
ライバル会社が打ち合わせに来ているときでも
気にせずにそこにいた。
ときには夜中すぎに事務所に来て、
朝方まで付き合わされたこともある。

その一連のことはたいへん迷惑でもあったけれど、
(最後のほうは本当にイライラを隠さずに作ったほどで)
おかげで企画書を満足そうに持っていく顔に
達成感も手応えも大いにあり、だった。
何よりも、こんなにも「自分が相手にできることは何か」
「相手が自分に求めていることは何か」
「そう求めているのはどうしてなのか」
「この商品は何を言いたいものなのか」
などなど、不器用にも必死で向き合う担当者は初めてみた。
先輩曰く「だからなかなか成功例を作れない人だと思うけどね」と、
他人の巻き込み方にはやや問題あり、
いやがる人は多いだろうなあというのが先輩の見解。
まず、作っている場所に来られることを疎ましく思う人も多いので。
逆に、ぽいっと投げられてこちらが返したものを
そのまま使う人もいるけど、それに関しては、
「本当に内容を理解しているのだろうか?」と不安になるし、
そもそもの意思を私が理解できていたかどうかも疑問に思う。
それに比べれば、ストイックに付き合わされるのはまだいいほうか。
できたものは、たぶん、定石の企画書にもなってないんだろう。
一次のプレゼンが通過した理由は
「他の会社とは全然違ってトンガッている」
という評価だったみたいだし。

ちなみに全く同じ案件でコピーだけ提供した会社の企画は一次で落ちた。
よくよく思えば、「できない」ことを最初から排除し、
「考え方」を考えることもなくビジュアル案しか見せなかったことが
そこの会社が通過できなかった原因だと思う。
(うまくいったほうのは、今思えばはじめは「考え方」だけだった。
具体的な案を全く出さないままによく通ったもんだと思う)

企画書が「トンガッていた」かどうかはよくわからない、
というか先輩や私を含む本人らが必死に考えて出した結果で、
むしろ当たり前のことを素直に言っただけのような気さえする。
代理店やそれに付随する広告に関する企画書と言えば、
何やらよくわからない、どこにも響かないフレーズが
話を煙に巻くようにくり返し流されるモノばかりなのを思えば、
(特に今回、代理店にとって充分な金額の仕事でないだけに
その姿勢は想像しやすい)
できるだけ寄り添えるものを、とオリジナルに考えられたものは
「トンガッている」ように見えるのかもしれない。
難しいことを難しく言うよりも、
小難しいウンチクはさておいて
感じてほしいことを感じられるように単純に作ろうとしたのも
そういう評価につながったのかもしれない。

ま、とにかく力一杯作った企画書だ。
実際にそれが採用されてしまうと、
企画書を作る以上にたいへんな仕事が待っているけど、
うまくいったら本当にうれしい。

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